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7イニング制報告書に関する
意見交換会・第2回

2026年6月に行った第2回「7イニング制等高校野球の諸課題検討会議最終報告書についての意見交換会」における、各参加者の主な発言を紹介します。

第2回(2026年6月6日)

高校生の成長の機会を減らさず
大石 卓哉さん (静岡県立掛川西高校野球部監督)

高校野球を取り巻く環境が大きく変化し、今のままでは今後100年、200年と発展していくことは難しいなと最終報告書を読んで感じました。現場の指導者としても、試行錯誤しながらやっています。

主役は高校生で、一人一人が高校野球をやってよかったと思えることが指導者の幸せです。高校生は入学から2年4カ月後には見違えるほど成長します。それは、その先に甲子園という大きな目標があるからだと思います。

高校生にとっての1イニングは、単なる3アウトではなく、成長するための貴重な機会です。なので、その機会を減らす全公式戦7イニング制には反対です。

一方で選手の健康を守る改革は必要です。また、高校野球を支える人たちが非常に少なく、1人にかかる負担が大きくなっているというのも感じています。大会日程や登録人数の変更などを考えることが、まず先ではないでしょうか。試合経験を積ませることを考えると、リーグ戦方式の導入は非常に効果的だとも思います。

変えていくもの、変えてはいけないもの。その見極めこそが今回の議論で最も大切だと考えています。

大石 卓哉さん (静岡県立掛川西高校野球部監督)
時間短縮で「支える」人の確保を
大久保 雅生さん (滋賀県高等学校野球連盟理事長)

「する」「見る」「支える」、そして「知る」。この四つの要素が支え合いながら、高校野球は今の形を築いてきました。「する」競技者、高校生が大事なのは当然ですが、「見る」観客、「支える」審判員、役員、保護者、医療従事者などの安全安心を確保しながら大会運営をするにはどうすればいいのか、常々考えています。

高校野球の審判員は職業をそれぞれ持ち、ポランティアで携わっています。各都道府県連盟の役員は、教員の仕事をしながら、休日や時間外に連盟のサポートをしています。このように高校野球を「支える」人々を、これからも確保できるのか。7イニング制がすべてを解決するわけではなないとわかっていますが、時間短縮という観点では有効なのではと感じています。

夏の暑さについては、地方大会は1日の試合数や開始時間を調整しやすいですが、問題は甲子園です。もう少し長く借りて、せめて夏も1日3試合にできないのでしょうか。

条件付きでのリエントリー制はすぐにでも導入してほしい。足がつった選手が治療する間、待つのではなく、すぐに代わりの選手を出して、治ったらまた戻せばいいのではないでしょうか。

大久保 雅生さん (滋賀県高等学校野球連盟理事長)
指導者は広い視野で野球の将来を
小倉 全由さん (日本高等学校野球連盟 技術・振興委員)※検討会議メンバー

若い時は甲子園に行くことだけを考えて指導していました。検討会議に参加するにあたっても、野球は9イニングだと考えていました。議論に参加し、観客や応援団、運営する先生方の苦労など何も知らなかったことに気づきました。

暑さ対策も含め、高校野球の将来について検討しなければいけない時期に来ています。現場に立つ指導者に、ただグラウンドで野球を教えるだけではなく、もっと広い視野で高校野球を盛り上げようと伝えていかなければと今は感じています。

2025年に、U18世界選手権の監督として、7イニング制の野球の難しさを経験しました。同時に、7回では野球にならないということはないことも感じました。盛り上がるし、選手たちも頑張ることができます。

全国約3800の学校が甲子園を目指すという今の形は絶対に崩してはいけない。地方大会の1回戦で負けても、高校野球をやってよかったっていうものを作っていかないとと思います。もし7イニング制にするなら、選抜大会の21世紀枠を増やしてほしい。地方大会で優勝はできなくても、甲子園を近く感じられたら、指導者にも高校生にも夢を与えられるのではないでしょうか。

小倉 全由さん (日本高等学校野球連盟 技術・振興委員)
熱中症と働き方には7イニング制有効
琴浦 義浩さん (京都府立舞鶴こども療育センター整形外科部長)

最終報告書が、学校の長期休暇に、甲子園で全国大会を開催することを前提とし、熱中症だけではなく部員数の減少や選手のけが、教員の働き方なども課題としている点に注目しました。

熱中症と働き方に関しては、7イニング制は効果があるのではないかと考えます。筋けいれんを中心とした熱中症は試合の後半に起こっており、すぐサポートすることで77%は試合に復帰できています。一方で、観客やブラスバンドなど応援の方たちの熱中症は時として重症度も高く、救急車を呼んで搬送したこともあります。暑さが今後クールダウンすることは考えにくく、人の命が関わる夏をどうするかが優先事項でしょう。夏を避けるのか、夏にするのであれば、どういう設備を整えるのかを考える必要があります。

一方で、選手の肩やひじのけがについては、7イニング制で思うような効果が出ないかもしれません。高校より前の段階にしっかり介入することが重要ではないかと考えます。

日本高野連が相当な覚悟を持って、7イニング制導入を真剣に考えている意図や、その効果が伝わっておらず、議論のスタートラインにみんなが立てていないのが問題で、対話を続けていかなければならないと思います。

琴浦 義浩さん (京都府立舞鶴こども療育センター整形外科部長)
生徒とも議論したうえで大人が判断を
須江 航さん (仙台育英学園高校野球部監督)

各カテゴリーの球界関係者、他競技の生徒、指導者、法の専門家、医療従事者といった立場、年齢等幅広い方々と対話しきました。私はもともと中学の指導者ですから、7イニング制で生徒が育つことも十分感じてきましたし、デメリットは感じません。しかし、対話を通して、9イニング制を維持したいという気持ちが非常に強く伝わってきました。まだ考え尽くされていないと感じている子ども達が多くいます。

検討会議の「最終報告書」「周知」といった言葉に対するアレルギーのようなものが感じられるので、その辺への配慮が今後、必要なのではと思います。

未来に向け、聖域まで踏み込むような構造改革を「しない」ことに、反対です。ただ、認識があまりにも大きくずれていますから、現場を交えて追加検討をすべきです。生徒とも議論したうえで、最終的には大人の責任でしっかりと決めていくべきです。

突き詰めれば、取るべき選択は限られてきます。場所や時期、開催方法の変更が可能なのか。新球場設立は可能なのか、ドームにできるのか。高校野球の枠を超えて関係各団体や機関と改めて話し合い、それらが叶わないとなった時に、7イニング制に真剣に向きあっていく流れになると思います。

須江 航さん (仙台育英学園高校野球部監督)
安全性担保への優先順位を
谷本 歩実さん (JOC理事・オリンピアン)

最後まで戦い抜く経験、その課程で培われる精神力といったものはかけがえない財産となり、そういう意味で9イニング制が持つ価値には非常に共感しています。その一方で、アスリートを取り巻く環境は、社会全体と連動しているということを意識していかなければとも考えます。

ハレーションにも近い形で7イニング制に7割が反対しているという現状を踏まえると、丁寧な説明と対話が重要だと感じます。

日本陸上競技連盟では、2025年に暑さ指数(WBGT)31以上は原則として大会を中止、中断もしくは延期するとしました。反対もあったそうですが、自分ごととして決めていくことが重要です。安全性を何で担保するのかを先に決め、優先順位を共通認識として持つ。それが問題をクリアにすると思います。7イニング制の全面導入ではなくて、暑さによって条件を変えるようなことはできないのでしょうか。

一貫したアスリート育成のパスウェイが今、スポーツ界では重視されており、高野連だけでなく野球界全体の問題としてしっかりと議論していくのがよいと思います。伝統や競技の価値を守ることと選手を守ることは両立できる。そんな着地になればと思います。

谷本 歩実さん (JOC理事・オリンピアン)
長島三奈さん (ファシリテーター)

第1回意見交換会

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