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7イニング制報告書に関する
意見交換会・第1回

「7イニング制等高校野球の諸課題検討会議」最終報告書についての意見交換会を2026年5、6月に2回に渡り、大阪市の中沢佐伯記念野球会館で行いました。各参加者の主な発言を2回に分けて紹介します。

第1回(2026年5月30日)

これでいいのか悩んでいる
大坪 慎一さん (佐賀県立鳥栖工業高校野球部監督)

二十数年間にわたって公立の現場で監督をさせてもらってきましたが、9イニング制でやっていきたいというのが正直な思いです。ただ、最終報告書の「社会の中の高校野球」という箇所の、暑さや少子化について読むとすごく悩み、果たしてこれでいいのかと考えることもあります。

佐賀県でも暑さ指数(WBGT)を測っていて、危険な場合は体育の授業ですら「今日は体育館で活動しよう」となってきている学校もあります。そのようなことを考えると、7イニング制もありかなと思います。9回か7回かというところはとても悩んでいます。

(プレイを)する側、見る側、支える側、それからもう一つ知る側、私は体育の教員なので、授業で生徒にスポーツとの関わり方を教えていますが、四つの観点がうまく一致して高校野球を進めていければ、野球界にとって一番将来のためになるのではと考えています。先人たちが築いてきたものがあるので、私たちもそれを次の世代に引き継いでいかないといけません。

見る側、父母から聞いたところでは、出場が決まって甲子園まで駆けつけて、7回で終わるのは…という意見がありました。

大坪 慎一さん(佐賀県立鳥栖工業高校野球部監督)
10年、20年後を想像して対応を
川井 圭司さん (同志社大学政策学部教授)

9回か7回かというのはスポーツの本質に関わる部分。7イニング制に対して、現場で7割の方が反対しているにもかかわらず進めていくのは本来、ありえない。それが適切なのかということも含めて個人的に強い関心を持っています。

誰の意思を尊重すべきかについては、高校野球に直接かかわっている「構成員」の意思を反映して決めることが望ましいと考えます。高野連の構成員は「学校」だと思います。生徒も構成員かもしれません。

欧米では、学校スポーツにおける意思決定権は基本的には学校、あるいは教員に帰属しており、責任を持って意思決定するために様々な角度で情報収集をします。学校が責任を持って最終結論を出すことが、「自主、自治、自律」にもつながり、私はこの構造がよいのではないかと考えます。

一方で、現場で反対が多いとはいえ、5年後までは9回でいけても、10年、20年後もそれでいけるかどうか、想像力を膨らませて対応していく必要はあります。いろんな形で議論することこそが、高校野球、それに関わる生徒たちにとっても非常に有意義なことであり、これからのスポーツ界の意思決定を考えるうえでも、望ましい機会になっていくのではと期待しています。

川井 圭司さん (同志社大学政策学部教授)
観客の熱中症の増加を実感
木田 圭重さん (京都府立医科大学整形外科講師)

国際試合に医師として帯同する経験をさせてもらい、7イニング制で実施されるU18の試合を見る機会がありました。終盤のドラマがなくなるのではないかと言われますが、8、9回がなくなるというより、1、2回がなくなる印象を持ちました。

医療関係者としての感想は、やはり熱中症は増えています。(サポートしている京都の夏の大会で)昨年は37件の熱中症対応があり、救急搬送も7件ありました。見に来ている父母や応援のブラスバンドの子たちに熱中症が増えているというのを肌で感じています。試合後半には足をつる選手も増えてくるので、7イニング制になると、それが減るだろうなと思います。

最終報告書には、7イニング制にすると選手の肩ひじのけがも減るだろうと書かれていますが、私は肩ひじのけがは小中学校の時に早期発見してあげることが大事だと考えています。小学5、6年の時に見つけて治すと、高校生になってもけがをしにくくなります。

他の競技のドクターに、野球はスタッフが多くてうらやましいとよく言われます。高校野球にそれだけ魅力があるからだと思います。魅力が続くために、変わった方がいいのか、変わらない方がいいのか、議論していきたいと思います。

木田 圭重さん (京都府立医科大学整形外科講師)
社会の変化に取り残されてはいけない
栗山 英樹さん (日本ハムファイターズ チーフ・ベースボール・オフィサー)

まず大前提として、野球をしていた僕らはみな9イニングやりたいですよ。元々、野球が大好きだから。3年間頑張ってきて、最後の夏が7イニングで終わっていいのかと思います。でも、何かを変えなくてはいけない時期なのかもしれないとも思います。高校野球には7回か9回かという以外にも、変えなきゃいけない、変わってはいけないというものがたくさんあると思います。生前のミスター(長嶋茂雄さん)は高校野球をとにかく大事にしてほしいと言われていました。高校球児には将来、野球をやっていてよかったと言ってほしいと思います。

春の大会の前にリーグ戦をやって出場機会を増やすのはどうかという意見もあります。アメリカの高校では7回ではなく、(時間短縮のために)1ストライクから始めるところもあります。やってみてダメなら元に戻す柔軟性があってもいいと思います。

野球人だけでなく、いろんな方から意見をもらって、考えていかなくてはならないと思います。高校野球はコロナ禍の際、(大会中止を決めて)社会にメッセージを与えました。社会にどのように見られているのかも意識しないといけません。社会の進化に高校野球は取り残されてはいけないと思います。

栗山 英樹さん (日本ハムファイターズ チーフ・ベースボール・オフィサー)
大人が説明責任をどう果たすのか
谷口 真由美さん (法学者・一般社団法人スポーツハラスメントZERO協会代表理事)

最終報告書を拝読し、さまざまなプロセスを経てまとめられたことに敬意を表したいと思います。ただ、7イニング制は目的ではなく一つの方策であり、他にどのような選択肢があるのかも含めて考えていく必要があります。現場の方々の声をうかがうと、報告書に込められた説明や丁寧さが、十分には届いていないのではないかとも感じます。

熱中症アラートが出るような環境の中で、高校野球の中継を一緒に見ていた海外の友人から「なぜこんなに暑い中、アラートが出ている状態で子どもたちが競技をしているのか」と聞かれると、大人としてどう説明するのかが問われていると感じます。そうした外からの視点も踏まえると、未来の高校野球、ひいては高校スポーツ全体をどうしていくのかという議論だと思います。

子どもの意見を大切にしようという声はよく聞きますが、その前提として、大人が子どもにきちんと説明し、十分な理解のもとで意見が表明されているのかを丁寧に確かめる必要があります。単純に7イニング制に賛成か反対かということではなく、大人が説明責任をどう果たし続けるのかという観点から見ていきたいです。他のスポーツでも、多様な意見が交わされることは大切だと思います。

谷口 真由美さん (法学者・一般社団法人スポーツハラスメントZERO協会代表理事)
知恵を絞れば9回のままでも可能
西谷 浩一さん (大阪桐蔭高校野球部監督)

7イニング制には断固、反対したい。現場に対するアンケートでは7割が反対しているのに、何のためにアンケートを取ったのでしょうか。ただの参考意見ということであれば、大変失礼だと思います。野球は9回でやるスポーツ。もし大リーグもプロ野球も社会人、大学も全部7イニング制になるのなら考え方を改めないといけませんが、高校野球だけ7回となると、高校野球の価値が下がり、ファンを失い、子どもたちのやりがいもなくなります。

する側、見る側、支える側と分けると、する側、現場の対応は今でも十分できていると思います。加盟校約3800校の半分は地方大会の1回戦で負けます。その後の夏休みの練習は体力的にも厳しく、炎天下で複数の練習試合を組まれたりします。一方、甲子園の出場校は1日1試合のみ。そのうちの半分はベンチで休め、冷風機や冷却グッズが完備され、暑さ対策は十分取られています。

むしろ、父母が応援する観客席、支えてもらう審判の方々の暑さ対策をどうすればよいか。例えば、暑い時間帯は審判を3イニングずつ交代制にしたり、観客席にテントを張ったり、知恵を絞れば9イニング制のままでも対応できるのではないでしょうか。

西谷 浩一さん (大阪桐蔭高校野球部監督)
すべての人が安心安全に関われる環境を
井本 亘・日本高校野球連盟事務局長

10年後、20年後の未来に向けて、教育の一環である高校野球において、部員の健康を守り、指導者、大会を支える役員、審判、応援団、観客の皆さんらすべての人に安心安全に高校野球に携わってもらえる環境を作っていけるかを議論し、7イニング等諸課題検討会議は最終報告書を出しました。

多くの方々に応援してもらっている中で、広くご意見を聞くべきだろうと、当連盟のサイトを通じて一般の方、加盟校からアンケートを取りました。さらに、昨年、沖縄で開催された7イニング制のU18ワールドカップを都道府県連盟の役員に視察してもらいました。滋賀県で開かれた国スポの硬式、軟式の試合を7イニングで実施して、出場チームに感想を聞きました。

阪神甲子園球場にこだわらず、ドームに移したり複数会場にしたりしてはどうか、時期をずらして秋や冬に開いたらという意見もありましたが、現実的には難しいという結論に至りました。費用面の課題や、春秋の大会もある高校野球の年間スケジュールを大きく見直す必要もあります。

7イニング制にすることで、出場機会の減少を懸念する意見もたくさんありました。リーグ戦的なものの導入、1校から複数チームの出場など、多様な意見を2年間、ワーキンググループならびに検討会議で議論しました。今回、このような経緯を踏まえたうえで、さまざまな意見をいただきたいと考え、意見交換会を開催いたしました。

井本 亘・日本高校野球連盟事務局長

第2回意見交換会

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