アンケート

7イニング制に関するアンケート調査実施について

令和7年6月30日
公益財団法人
日本高等学校野球連盟

日本高等学校野球連盟は1946(昭和21)年の設立以来、「高校野球は教育の一環」という理念を掲げ、高校野球の発展に努めております。

全国高等学校野球選手権大会、選抜高等学校野球大会の両大会は100年を越える歴史を重ね、また全国高等学校野球軟式選手権大会は今年で70年を迎えるように高校野球は多くの国民の皆さまに支えられ、今日まで歩みを重ねています。

現在、高校野球を取り巻く周辺環境は大きく変化しており、当連盟はこの周辺環境に対応するための一つの対策として、2025(令和7)年1月に「7イニング制等高校野球の諸課題検討会議」を発足させ、高校野球における7イニング制の議論を始めています。

当連盟が7イニング制に関する議論を行っている背景は以下の通りです。

(1)
昨今、高校野球の部員数が減少傾向にある中(資料1)、加盟校間で部員数の差が顕著にあらわれており、部員不足による連合チームも増加している(資料2)。
 高校野球が直面している課題(教員の働き方改革、部員の健康対策・熱中症ならびに障害予防)や社会全体が直面している課題(国内のダウンサイジングに伴う、人口減、都市部と都市部以外の差)に対して、高校野球の今後、10年、20年後の更なる発展を見据えて今何に取り組まなければならないかを考える必要がある。
(2)
上記(1)を踏まえて、全国大会(選抜高等学校野球大会、全国高等学校野球選手権大会、全国高等学校野球軟式選手権大会)ならびに都道府県大会(春・秋大会・選手権地方大会)を今後どのようにして運営していくのかを考えていかなければならない。
(3)
日本学生野球憲章(基本原理)ならびにスポーツ基本法(基本理念)を念頭にして、成長期である部員が、安全に安心して野球に取り組むための対策を講じていく必要がある。
(4)
社会全体で夏季の熱中症リスクが叫ばれる中、夏季に大会を開催することが高校野球関係者以外(社会)からどのように映るのかを認識、自覚する必要がある。
(5)
普段の練習や公式戦開催に伴い、選手・部員・応援生徒・指導者・審判員・観客などの方々に重大事故が発生してから、あるいは国や自治体からの指示を受けてから議論をスタートするのではなく、高校野球関係者が自主自律の姿勢で議論していかなければならない。
(6)
今後も国内の人口減少が見込まれ、更なる気候変動が予想され、暑さもより厳しくなると見込まれる中で「何も対策を講じない」ままでよいのかという危機感を持つべきである。
(7)
7イニング制を考察するうえでは、熱中症対策は重要なテーマだが、数ある課題の一つである。一方で、熱中症対策は差し迫った喫緊の課題である。

当連盟では、上記を踏まえて「7イニング制等高校野球の諸課題検討会議」を発足させるにあたり、7イニング制を採用した場合に想定される変化と、それに伴うメリット・デメリットについて検討しました。結果は以下の通りです。

想定される変化 属性 メリット デメリット
試合時間の短縮 部員 障害予防の推進
(特に投手の肩、肘)
熱中症リスクの減少
試合を楽しむ時間の減少
社会 安全重視のメッセージの発信
大会運営 運営の柔軟性や工夫の容易性
(1日の試合数、会場数、試合時間の変更等)
投球数の減少 部員 障害予防の推進
6アウトの減少 部員 部員不足チームの安全な試合参加 部員の出場機会の減少
試合展開、戦術の変化 部員 国際基準への習熟 上部カテゴリー(大学、社会人、プロ)などとの連続性の喪失
社会 慣れや変更への違和感
記録の非連続性 部員 過去大会との記録比較不可
記録の歴史的価値の減少
社会

今後、当連盟内で議論を尽くしてまいりますが、本件は高校野球において極めて重要なテーマであり、結論を導き出す過程において、連盟内での議論のみならず、高校野球を支えていただいている幅広い方々の声に耳を傾けなければならないと考えております。

そのため、別途、全加盟校を対象としたアンケート調査とともに、高校野球に関心をお持ちの皆さま方へのアンケート調査することと致しました。

それらの結果も参考にしながら、引き続き深く議論を重ねてまいりたいと考えております。上記を踏まえたうえで、7イニング制について、賛成あるいは反対とその理由、または私達が気付いていない点やご意見があれば7月11日(金)17時までにお寄せいただきたいと思います。

どうぞご協力の程、お願い申し上げます。

【資料1】 加盟校数と部員数の推移(硬式)
加盟校数と部員数の推移
【資料2】 連合チームの推移(硬式)
連合チームの推移
【参考資料】 16歳から18歳の人口と野球部員(硬式)の比率
16歳から18歳の人口と野球部員の比率